「お金を貸したのに返してもらえない」「催促しても反応がない」
そんなとき、内容証明郵便で返還請求を行う方法があります。
内容証明によって日本郵便が証明するのは、「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を差し出したか」という点です。文書の内容が事実かどうかを証明する制度ではありません。文面は淡々と、事実と請求内容を整理して作る必要があります。
この記事では、貸金返還請求の内容証明を作るために、書く前に整理すべきポイント、文面に入れる項目、作成例、送付までの流れをまとめます。文面づくりに不安がある場合は、湘南さむかわ行政書士事務所へご相談ください。
※ 内容証明の概要は以下の記事でもご紹介しております。あわせてご参考ください。
内容証明でできること/できないこと
内容証明は、相手に対して「請求の意思表示をしたこと」「請求内容」を明確に伝え、記録として残すための手段です。一方で、内容証明そのものに、差押など強制執行の効力はありません。支払がなければ、裁判手続きなど、別の手続を検討する場面があります。
また、行政書士は依頼者の意思に基づく文書作成を支援できますが、相手方との交渉を代行して決着まで導くことや訴訟代理は弁護士の領域です。相手が争う姿勢を明確にしている場合などは、弁護士への相談をご検討ください。
貸金返還請求前に、まずは事実整理
文面の出来より先に重要なのが、事実関係の整理です。
内容証明は、後で裁判所棟の第三者が読む可能性を想定して作ります。曖昧な内容にならないよう気を付けましょう。
整理項目
下記の項目は、最低限整理しておきたい項目です。
- 貸付日
→ いつ貸したか - 貸付金額
→ いくら貸したか - 交付方法
→ 振込・現金手渡し等 - 返済期日
→ 期日があるか、ないか - 返済の約束
→ 返済方法、分割、口頭合意の内容など - 返済状況
→ 返済があれば、日付と金額 - 相手の住所・氏名
→ 念のため再確認
手元にあると望ましい資料
- 振込明細
→ 銀行の利用明細、通帳、ネットバンクの履歴 - やり取りの記録
→ メッセージ、メール、返済の約束が分かる部分 - 借用書
→ あれば - 返済があった証拠
→ 振込、手渡しの受領記録等
上記資料に基づいて作成し、資料や記録にない曖昧な点は記載を控えましょう。
消滅時効が関係する場合の注意
貸金返還請求は、状況により消滅時効が関係します。
時効が成立しているか、いつから進行するかは、返済期日の有無、権利を行使できる時点、当事者関係などで判断が分かれます。よって、いつまでも請求可能ではないことに注意しておきましょう。
また、内容証明を送っただけで問題がすべて解決するわけではないという点にも注意が必要です。状況によっては訴訟に発展する場合も考えられますが、そのような場合には弁護士への相談を検討しましょう。
貸金返還請求の内容証明に入れるべき要素
貸金返還請求の目的は、相手が「何を」「いつまでに」「どうやって」すればよいかを明確に伝えることです。感情的な非難や、根拠の薄い断定、過度な脅し文句は避け、淡々と組み立てましょう。
- 当事者の特定
→ 差出人・受取人の氏名住所 - 貸付の事実
→ 貸付日・金額・方法 - 返済期日
→ ある場合は明記、ない場合は「返還を求める意思表示」を明確に記載 - 請求内容
→ 元本、利息・遅延損害金は合意や根拠に基づく範囲で - 支払期限
→ 到達後○日、または日付指定 - 支払方法
→ 振込先、名義、手数料負担の記載など - 連絡方法
→ 書面での回答依頼、連絡先 - 未払の場合の対応
→ 法的手続を検討する旨を簡潔に
利息や遅延損害金を書く前に確認したいこと
利息や遅延損害金は、合意の有無について確認が必要です。あらかじめの合意がないのに利息を前提として断定的に請求すると、争点になりやすくなります。
約束が不明確であれば、まずは元本の返還請求を主軸に組み立てることを検討するのも一つです。
- 利息の約束があるか
→ 口頭でも、やり取りで合意が読み取れるか - 遅延損害金の約束があるか
- 約定利率がある場合、上限規制※に抵触しないか
※ 上限規制は、利息制限法に基づき元金により年15~20%と定められています
【作成例】貸金返還請求の内容証明
以下に貸金返還請求の作成例を紹介します。ご自身で実際に作成する場合は、貸付日・金額・返済期日・返済状況などを、手元資料と整合するよう置き換えてください。
※ PCとクレジットカードをお持ちの方は、安価で作成も容易なe内容証明を利用することをおすすめいたします。日本郵便のサイトでは、Word形式のひな形も用意されています。

ポイントは、相手が「いつまでに」「いくら」「どこへ」支払うのかが一読で分かることです。必要以上に長く・丁寧な文面になりすぎないようにしましょう。
送付までの流れ(窓口/e内容証明)
窓口で差し出す場合
- 内容文書と、謄本(写し)を用意する
- 必要通数を揃える
→ 受取人用、差出人控え、郵便局保管用 - 内容証明の取扱いがある郵便局へ持ち込んで差し出す
- 必要に応じて配達証明※を付ける
※内容証明は「差し出した事実」は残せますが、配達された日付まで証明したい場合は配達証明を組み合わせます。
e内容証明を使う場合
e内容証明は下記のサイトから利用いただけます。
- サイト上で利用者登録を行う
→ 要クレジットカード - 作成規定・ひな形に沿ってWord文書を作成する
- 送付先・差出人情報を登録し、送信する
e内容証明の場合は送信前に内容確認ができ、すぐに修正できる点も便利です。
内容証明を出した後に考えること
内容証明を出した後の展開は、相手の反応で分かれます。
- 期限内に支払がある
- 分割の申出がある
- 無視される
- 事実関係を争ってくる
もし争いとなることが明確になった場合は、証拠の再整理や次の手続の検討が必要になります。訴訟代理や交渉の決着が必要となる場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
次のトラブルを減らすために
貸し借りが一度こじれると、次からは「借用書をしっかり作っておけばよかった」「返済条件を文書にしておけばよかった」と感じることが少なくありません。
湘南さむかわ行政書士事務所では、内容証明だけではなく、覚書、示談書、契約書など、当事者の意思を文書化する支援も可能です。
業務の見積もり・依頼・各種お問い合わせは専用フォームやLINEなどから24時間受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。

