自宅や店舗の駐車場をつくる、敷地に車を出入りさせたい。そう考えたときに壁になるのが「歩道の縁石(段差)」や「ガードレール(防護柵・横断防止柵)」です。
ここで大切なのは、歩道の切下げやガードレール撤去は、勝手に工事できないという点です。道路は公共物であって、工事には道路管理者の承認が必要になります。さらに工事の内容次第では、警察署への申請(道路使用許可)が必要になることもあります。
本記事は、「どうすれば切下げ・撤去の許可が下りるのか」をゴールに、流れ・要点・つまずきやすいポイントをまとめました。ただし、道路管理者ごとの細かな基準は、必ず各窓口の案内に従ってください。
必要なのは「道路管理者の承認」+「場合により警察の許可」
歩道の切下げやガードレール撤去は、多くのケースで「道路管理者に対して、道路工事の承認(いわゆる承認工事・自費工事)を申請し、承認後に工事する」という形になります。なお、道路管理者は国道なら国土交通大臣、県道なら県知事・市道なら市長といった具合に分かれます。
工事中に車線規制・通行止め・誘導員配置などが必要になる場合は、所轄警察署長の道路使用許可が別に必要です。ここを見落とすと、承認は取れても工事日程が動かせない、工事日程は動かせたけど近隣説明がやり直しになる、といった事態が起きがちです。
「歩道切下げ」「ガードレール撤去」はどんな扱いになる?
道路には、車道・歩道・縁石・側溝・植樹帯・標識・ガードレール等の附属物があり、これらは道路管理者が管理しています。車庫の出入口をつくるために縁石を下げたり、歩道の一部形状を変えたり、防護柵を撤去したりする行為は、道路の構造や附属物に手を入れる工事です。
ここで混同しやすいのが、次の3点です。
- 道路工事の承認(承認工事・自費工事)
→ 道路管理者に対し、沿道者都合の道路工事を申請し、承認を得て施工する - 道路占用許可
→ 道路管理者に対し、道路の区域内を「工作物・物件」などによる継続的使用の許可 - 道路使用許可
→ 警察署に対し、工事に伴う交通規制や道路上作業など、交通に影響を与える行為の許可
切下げ・撤去はまず「道路工事の承認」が軸になりますが、工事方法・期間・道路上の占用の有無・交通規制の有無で、必要な手続きが増減します。
申請先を間違えないこと
許可の第一歩は、工事したい前面道路が「誰の管理か」を確定させることです。国道・県道・市道・町道などで窓口が変わりますし、同じ市町村内でも、路線によって担当部署が異なることがあります。
多くのケースでは以下の場所に問い合わせるとスムーズに進むことが多いです。
- 国道
→ 地方整備局 - 県道
→ 土木事務所 - 市道、町道
→ 市役所や町役場
道路管理者が違えば、基準(離隔・延長・構造)や添付図面の指定、提出部数、事前協議の要否が変わりますので、それらを必ず確認してから取り掛かりましょう。
許可の可否を左右するチェックポイント
道路管理者が見ているポイントは、突き詰めると「安全」と「機能の維持」です。ここでは、窓口で必ず確認されやすい論点を、準備の観点から整理します。
交通安全上の支障が出ないか
車の出入り口は、歩行者・自転車・車の動線とぶつかります。特に、交差点付近、横断歩道付近、見通しの悪いカーブ付近、バス停付近は慎重に見られやすいです。
この論点は、図面だけでなく現況写真(正面・左右・反対車線側)で説明できると強いです。「どこからどこまで切下げるのか」「撤去範囲は最小限か」を写真と図面で一致させるとよく伝わります。
歩行者の連続性(いわゆるバリアフリー)を損なわないか
歩道は歩行者のための空間です。切下げを入れることで、歩道の勾配が急になったり、排水が悪くなって水たまりができたり、段差が残ってつまずきやすくなったりするようであれば、承認が取りにくくなります。
また、歩道内に排水施設等がある場合は補強をしたり、安全施設の設置を求めたりすることがあります。切下げ計画の協議を円滑に進めるには、側溝・集水桝・マンホール・点字ブロック・植樹帯など、歩道内の既設物の位置を図面へ正確に落とし込むことが重要です。
切下げが原因の雨水流入・滞水をどう防ぐか
意外と見落とされるのが排水です。縁石を下げると、雨の日に車道の水が敷地側へ流れ込みやすくなったり、歩道の水勾配が崩れて滞水したりします。
道路管理者の案内には、切下げに伴う路面排水流入リスクへのチェック項目を設けているものもあります。計画段階で、敷地側の勾配・雨水桝・排水経路をセットで検討しておくと、協議が進みやすくなります。
ガードレールの撤去は「必要最小限」か
ガードレール撤去は、歩道切下げ以上にハードルが上がりやすい項目です。なぜなら、ガードレールは歩行者の安全確保のために設置された施設であり、撤去範囲が広いほど安全性が下がるからです。
市町村によっては、既設ガードレール等の撤去は最小限の範囲に限ると記載している例が見られます。撤去が必要なら、「撤去しないと車両出入りが成立しない理由」と、撤去範囲を最小化した計画がセットになります。
例えば、建物を新築する際に、車庫予定地の前にガードレールが存在する場合など、車庫の前にあるガードレールの撤去であれば認められやすいですが、車庫とは無関係な部分の撤去には応じてもらえない可能性があります。
隣接地・既存乗入れとの関係
道路管理者によっては、出入口の位置が隣地境界に近い場合、隣地側の既存切下げと干渉する場合、または工事の影響が隣地へ及ぶ場合は、説明や同意を求められることがあります。
この論点は、現地境界があいまいでは進めることが難しいため、公図・地積測量図・現況測量など、境界を裏付ける資料を準備しておくと、協議が止まりにくくなります。
施工業者の要件・着工前後の届出
道路工事は品質と安全が求められるため、道路管理者が施工業者の要件や現場代理人を求めることがあります。また、承認後も、着工届・工程の連絡・完了届・完了検査など、段階ごとの手続きが用意されているケースが多いです。
手続きの流れ
ここでは、手続きの順序を一例として紹介します。名称や提出書式は道路管理者により異なるため、あくまで流れの骨格としてご理解ください。
道路管理者へ事前相談
- 現況写真
→ 正面・左右・全景 - 現況図・利用計画図
→ 平面図・縦横断のイメージ - 敷地内の駐車計画
→ 車の動きが分かる図 - 支障物
→ 街路樹・標識・マンホール等の位置
早い段階で事前相談できると、「そもそも不可の位置」を避けられます。ここで方向性が固まると、申請書類の作成が一気に楽になります。
道路工事の承認申請
申請書に加えて、案内図・平面図・縦横断図・構造図・写真・道路台帳等の添付が求められることがあります。道路管理者によっては、隣接地の説明状況や同意届出書の様式を用意している場合もあります。
警察署の道路使用許可
車線規制、通行止め、誘導員の配置、資材の一時置きなど、交通に影響が出る工事は、警察署への申請が必要になることがあります。道路管理者の承認とは別の手続きです。
工事の実施
歩行者動線の確保や仮囲いなどの安全措置を徹底しながら、承認条件に沿って工事を行いましょう。
完了届・完了検査・引渡し
完了後は、完了届の提出や完了検査を経て、道路管理者の管理物として整理されます。ここまで到達して初めて「許可が下りた」と言える状態になります。
費用の考え方
歩道切下げやガードレール撤去は、申請者側の都合で道路を改築する側面があるため、原則として工事費用が申請者負担になります。費用は、切下げそのものだけでなく、次のような要素で増減します。
- 既設構造
→ 側溝・集水桝・歩道の舗装構成の変更が必要か - 支障物件の有無
→ 街路樹の移植・標識移設など - 安全対策費
→ 夜間工事・交通誘導員など
ただし、費用感の把握を急ぐより先に、「そもそも承認が取れる計画か」を固める方が、結果的に近道です。
私道・位置指定道路などの場合
前面道路が公道ではなく、私道や位置指定道路、共有名義の通路だった場合、切下げ以前に権限・同意の整理が必要になります。
例えば私道では、近隣所有者の掘削や形状変更に関する同意書・覚書が求められる場面があり、ここを曖昧にしたまま進めると、後から通行・掘削トラブルに発展するので気を付けましょう。
相談の前に用意したい資料
- 案内図
→ 工事予定箇所が分かる地図・住所(地番も分かると望ましい) - 現況写真
→ 正面・左右・歩道全体・支障物 - 敷地内の駐車計画
→ 車種、出入りルート、切り返しの有無 - 境界資料
→ 公図、地積測量図、測量図があれば - 前面道路種別
→ 42条1項1号など(最低でも公道か私道か)
これらが揃うと、窓口協議が早くなり、許可までの距離が縮まります。
湘南さむかわ行政書士事務所でお手伝いできること
歩道切下げ・ガードレール撤去は、道路管理者協議、図面整備、警察署手続、施工者との調整など、同時進行で進める事項が複数あります。
湘南さむかわ行政書士事務所では、状況の整理から申請書類作成、必要に応じた関係機関との調整まで、負担を軽くする形でサポートしています。
- 道路管理者への事前相談に向けた資料整理
- 道路工事承認に関する申請書類の作成・提出サポート
- 工事に伴う道路使用許可の申請サポート
- 私道の場合の承諾書・覚書など、権利関係整理の支援
「この場所で切下げできるのか」「ガードレール撤去が必要と言われたが進め方が分からない」など、不明点があれば、お早めにご相談ください。
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