外国人ドライバー採用で一番つまずきやすいのは「期限と順番」です。
トラック分野では、運転免許の取得に必要な期間として在留資格「特定活動(55号)」で最長6か月(更新不可)が設定されています。ここで段取りが遅れると、採用計画そのものが崩れてしまいます。
この記事は、外国人が現地免許を取得→技能評価試験に合格→特定活動55号で入国→外免切替を完了→特定技能1号へ在留資格変更するまでの流れを整理しています。あわせて、特定技能1号の申請で採用会社側に求められる要件にも触れていきます。
外国人ドライバーの採用を具体的にご検討中の方は、ぜひ湘南さむかわ行政書士事務所へご相談ください。
トラック分野の要件は「運転免許+評価試験+日本語」
特定技能1号(自動車運送業分野・トラック)では、主に次の要素が要件になります。
たとえ優れた運転技術をお持ちであっても、これらの要件が揃っていないと特定技能1号の在留資格を得ることができません。
- 日本の運転免許
- 特定技能1号評価試験の合格
- 日本語能力
→ 日本語能力試験N4相当
運転免許は日本で外免切替(外国免許を日本免許に切り替える)により取得するか、日本で新規取得(教習所に通うなどして1から取得)する方法がありますが、6か月という期間の問題があるので、通常は外免切替で対応できる外国人を採用することになります。
外免切替の必要書類、実施場所などの詳細については、警視庁のサイトが参考になります。
(参考:警視庁サイト)
特定技能1号評価試験や日本語能力試験は、様々な国で受験が可能です。こちらも入国前に取得するケースが多くみられます。
特定技能1号評価試験や雇用にかかる費用相場については、以下の記事が参考になります。
(参考:ドライブXサイト)
特定活動55号とは:特定技能へ移るための「準備の在留資格」
自動車運送業分野では、特定技能1号として働くために必要な「日本の運転免許」を取得する時間が必要です。
そのため、一定の前提を満たした外国人候補者に対して、免許取得等の準備のため在留資格「特定活動」で入国・在留を認める枠が設けられています。これが「特定活動55号」と呼ばれています。
トラック運転者の場合、この特定活動の在留期間は6か月で、更新できません※。つまり、特定活動の間に外免切替等を終え、要件が揃い次第、特定技能1号への変更申請を行う設計になります。
※ 2026年1月時点の制度では、特定活動期間中に日本免許が取得できなかった場合、外国人には帰国が求められることになります。
全体フロー
本人の要件を含め、採用から勤務開始までの大枠の流れは次のとおりです。詳細については次項以降でも触れていきます。
- 採用候補者選定
- 特定技能1号評価試験に合格
- 日本語要件クリア
→ 日本語能力試験N4相当 - 採用会社側の受入要件を整備
→ 協議会加入、認証取得(働きやすい職場認証 or Gマーク) - 在留資格認定証明書交付申請(COE)
→ 特定活動55号 - 査証取得
- 入国
- 日本での生活基盤を整備
→ 日本語研修もこの期間に実施 - 外免切替
→ 特定活動期間内に実施 - 在留資格変更許可申請
→ 特定技能1号 - 就労開始
在留資格の取得は、本人要件に加えて採用会社側にも様々な要件があります。申請に間に合わないということが無いように、採用計画の段階で要件を棚卸しをしておきましょう。
外国人候補者側の準備
有効な運転免許と運転経歴を確認する
特定技能1号評価試験の受験資格として、受験時点で有効な日本または外国の運転免許を持っていることが求められます。
外国人候補者が「これから免許を取る」段階の場合、次項の3ヶ月滞在要件に該当するなど、採用計画に遅れが生じることになります。採用計画の初期で免許の有無と有効期限を確認してください。
外免切替の「3か月滞在」要件は早期確認
外免切替には、「外国免許を取得した後、当該国等に通算して3か月以上滞在していたこと」が条件になります。
入国後に不足が判明すると、特定活動55号の期間内に免許が取れず、結果として特定技能1号へ移れないという致命的な問題が発生します。外国免許の取得日は必ず確認してください。
評価試験と日本語要件は合格後に入国
トラック分野は、原則として評価試験と日本語要件を満たした上で特定活動55号で入国し、日本で免許を取って特定技能1号へ移る設計になっています。
「入国してから評価試験を受ける」という計画だと、期限までに間に合わない可能性が出てきますので、入国前に要件をクリアしておきましょう。
採用会社側の要件
自動車運送業分野は、安全と労務の観点から「会社側の要件」が明確に整理されています。トラックで受け入れる場合、次の要件が求められます。
道路運送法上の「自動車運送事業」を経営していること
大前提となる要件ですが、道路運送法上の自動車運送事業を経営する事業者であることが求められます。
「働きやすい職場認証制度」または「Gマーク」の取得
トラック分野は、いわゆる上乗せ要件として「働きやすい職場認証制度」または「Gマーク制度」の認証取得が求められます。未取得であれば取得しておきましょう。
(参考:働きやすい職場認証制度 ホームページ)
(参考:Gマーク制度 ホームページ)
自動車運送業分野特定技能協議会への加入
自動車運送業分野では、協議会への加入が受入れ要件になります。さらに、登録支援機関を使う場合は、登録支援機関側も協議会加入が必要です。
協議会加入は特定活動の申請までに必要で、届出内容の確認に一定期間を要するとされています。つまり、内定後に協議会加入を始めると加入申請で詰まる可能性があります。採用計画の初期で加入手続きを済ませておくのが安全です。
雇用条件と労務管理
特定技能の雇用条件は、日本人労働者と同様の労働条件で雇用する必要があります。
特に運送業は、運行計画と労働時間が密接で、運行指示書、点呼、休憩、待機、残業などを厳しくみられます。申請前には例として、次のような点に注意しましょう。
- 雇用契約書と、実際のシフト・運行計画に矛盾はないか
- 手当(固定残業、深夜、休日、運行、無事故等)の根拠が説明できるか
- 同等報酬の説明を、比較対象(同職種の日本人)で示せるか
- 安全教育・点呼・運行管理の体制が、書類と実態で合っているか
支援体制(自社でやる or 委託する)
特定技能1号では、支援計画の策定・実施が求められます。
支援計画は住居確保、生活オリエンテーション、相談対応、行政手続の補助など多岐にわたりますので、自社での実施が難しい場合は、登録支援機関への委託を検討しましょう。
特定活動55号の申請について
海外在住者を日本に呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請(COE)を行います。特定活動55号の申請は、免許取得や研修部分を除き、特定技能1号と同様の要素を先に整えることになります。
申請に必要な書類の例
- 雇用契約書
→ 職務内容、賃金、労働時間、休日、手当の記載 - 職務内容の説明資料
→ 運行業務や荷役業務の範囲を明確化しておく - 評価試験合格証明
- 日本語要件資料
- 支援計画
→ 準備活動中の支援も含めて実施可能な内容とする - 協議会加入の状況が確認できる資料
- 認証
→ 働きやすい職場認証制度/Gマークに関する資料
特定活動期間中に行うこと
特定活動55号は、特定技能1号に移るための準備の在留資格です。
そのため、特定活動期間中は、免許取得、生活立ち上げ、日本語教育、日本の交通ルール・安全教育の習得など、就労開始の前提づくりに集中させるようにしましょう。
入国後の実務(生活基盤の整備&外免切替)
ここまでの流れだと、「入国後はまず免許」のイメージが付きますが、その前に生活の立ち上げが必要です。
まずは住所が定まらないと手続が進まないので、入国直後から計画的に進めます。
入国直後にやることの例
- 住居の確保
→ 賃貸契約、入居手続 - 住民登録
- 銀行口座、携帯電話、生活インフラの用意
- 社内オリエンテーション
→ 就業規則や相談窓口などの確認
限られた時間内で進める必要があるため、本人任せにしないほうが安全です。これらが遅くなるほど外免切替の予約や書類準備が後ろ倒しになることを意味します。
外免切替
外免切替は、本人が住所地の免許センターで行います。必要書類は都道府県によって異なることがありますが、おおむね以下のとおりです。
- 有効な外国運転免許証
- 運転免許証の日本語翻訳文
→ JAF等で取得 - パスポート
→ 滞在期間を示す資料を含む - 住民票
- 申請用の写真
なお、外免切替の条件には「外国免許取得後に当該国等へ通算3か月以上滞在」が求められます。
また、免許センターによっては予約が必要です。住所地の免許センターの最新案内を必ず確認しましょう。
(参考:神奈川県警察)
特定活動55号→特定技能1号への在留資格変更
特定活動55号の期間中、免許取得等により要件が揃ったら、速やかに特定技能1号への在留資格変更許可申請を行います。なお、要件が揃った後も特定活動を行うことは認められません。
採用後の運用
特定技能1号は、許可が出て終わりではありません。
むしろ許可が出てからが本番で、採用後は、計画に基づく支援の実施、各種届出、相談体制の運用が続きます。運送業では、安全教育や労務記録も重要です。
禁止事項(保証金・違約金・財産管理など)
外国人の受け入れにあたり、保証金の徴収、違約金を定める契約、本人の財産や通帳等の管理といった運用は、制度上の趣旨に反します。免許取得費用の扱いも含め、契約書や覚書を作成する場合、文言は慎重に設計しましょう。
湘南さむかわ行政書士事務所でできること
トラック分野は、入管・運送業・免許など複数の手続が交差します。特定活動55号の期限(6か月・更新不可)があるため、「誰が」「いつまでに」「何を出すか」を最初に決めておかないと、採用計画が破綻する可能性があります。
湘南さむかわ行政書士事務所では、次のような支援をご相談いただけます。
- 採用計画の要件確認
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 協議会加入等の会社側要件整理
- 契約書・覚書の文言整理
不明点が出てからの相談でも対応できますが、特定活動55号は期限が短い分、早めの段階でこれらを整えておくことが望ましいです。漠然としている段階でも構いませんので、気軽にご相談ください。
※ 業務の見積もり・依頼・各種お問い合わせは専用フォームやLINEなどから24時間受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。

