「介護の仕事で日本に残れる?」「特定技能と何が違う?」「国家試験に受かったら終わり?」
在留資格「介護」は、条件がはっきりしている分、1つでも欠けると通らないタイプの在留資格です。
本記事では介護ビザの申請要件や必要書類について解説します。
在留資格「介護」とは
在留資格「介護」は、日本の公私の機関(介護施設など)との契約に基づき、介護福祉士の資格を有する方が、介護または介護の指導を行う業務に従事するための在留資格です。
この在留資格のポイントは「介護の仕事なら何でもOK」ではなく、介護福祉士としての業務であることが前提だという点です。
受付・送迎・清掃・厨房などの周辺業務が混ざること自体は現場では普通ですが、申請では主たる業務が何かを具体的に示す必要があります。
対象かどうかチェック
介護ビザの対象かどうかは、以下の点でチェックができます。
- 介護福祉士の資格を持っている
→ または国家試験に合格後、登録手続まで進んでいる - 日本の介護事業者と雇用契約がある
- 仕事内容が「介護」または「介護の指導」として説明できる
- 報酬が、日本人が同じ仕事をする場合と比べて同等額以上である
在留資格「介護」の要件
介護福祉士であること
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格が前提です。
有効な介護福祉士の資格を得るには、合格後に登録を行う必要があります。登録には1ヶ月半程度を要しますので、「国家試験に合格した=すぐ申請できる」ではない点に注意が必要です。
日本の機関との契約に基づき、介護/介護の指導に従事すること
申請では「介護職」などの肩書よりも、日々の業務内容で判断されます。
- 良い例
→ 身体介護、生活援助、介護記録、アセスメント、担当者会議へ参加、後輩指導など具体的に記載 - 悪い例
→「介護業務一式」「現場対応」「雑務」など、ざっくりとして中身が見えない書き方
周辺業務がある場合は、その割合(例として「介護8割、記録・連携1割、その他1割」 など)や、周辺業務が「介護の一環」である旨の説明(衛生管理、環境整備の位置づけ等)をセットにすると良いです。
報酬が日本人と同等額以上
在留資格「介護」では、報酬について「日本人が従事する場合と同等額以上」が求められます。
基本給だけでなく手当・賞与の扱い、夜勤の回数による変動など、内訳が確認できる形にしておくことが望ましいです。
他の制度の違い
介護分野は制度が複数あるため、ここで少し整理しましょう。
- 在留資格「介護」
→ 介護福祉士であることが前提。更新しながら就労継続が可能。家族帯同も可能。 - 特定技能「介護」
→ 技能試験等で就労可能だが、特定技能1号の場合は原則として家族帯同は不可。 - 技能実習「介護」
→ 国際貢献の制度であり、転職や在留の自由度は高くない。家族帯同は不可。 - EPA(介護福祉士候補者)
→ 在留資格「特定活動」にて就労しながら国家資格取得を目指す仕組み。家族帯同は不可。
「長く日本で介護の仕事を続けたい」「家族と暮らしたい」という希望がある方ほど、最終的に「介護(介護福祉士)」へ寄せていく設計になることが多いです。
介護福祉士の取得ルート
在留資格「介護」は、以前は主に「日本の養成施設を出た留学生」を想定した制度として始まりましたが、2020年4月1日の基準見直し以降は、介護福祉士資格を取得したルートにかかわらず認められる取扱いになっています。
つまり、留学→養成施設だけでなく、実務経験を積んで国家試験に合格した場合なども射程に入ります。
代表的な取得ルート
- 養成施設ルート
→ 専門学校・短大等 - 実務経験ルート
→ 実務経験+実務者研修等+国家試験合格 - 福祉系高校ルート
- EPAルート
→ 国家試験合格
申請の種類(海外から呼ぶ/日本で変更/更新)
海外から呼ぶ → 在留資格認定証明書(COE)交付申請
海外在住の方を日本の施設が雇用するなら、原則はCOE申請→査証→入国の流れです。COE申請は受入機関(施設側)が申請代理人として動くことが多いです。
※ COEの詳しい流れは以下の記事を参照ください
日本にいる → 在留資格変更許可申請
留学、家族滞在、特定技能などから「介護」へ切り替える場合は、在留資格変更です。
※ 変更許可申請については以下の記事を参照ください
更新 → 在留期間更新許可申請
更新は、現在の活動が「介護」として継続しているか(同じ施設で勤務しているか、報酬は適正か等)を中心に見られます。転職・配置転換・勤務形態変更がある場合は、説明資料の作り直しが必要になります。
※ 更新許可申請については以下の記事を参照ください
必要書類
提出書類は、申請区分(認定/変更/更新)や受入機関の状況で増減しますが、概ね以下のとおりです。
共通で揃えるもの
- 申請書
- 写真
→ 所定の規格あり - パスポート、在留カード
→ 変更・更新の場合 - 介護福祉士の資格を証明する資料
→ 介護福祉士登録証 - 雇用契約書または労働条件通知書
→ 地位・報酬・期間・勤務地・業務内容など - 職務内容説明書
→ 介護/指導の具体、業務割合、体制、勤務シフトなど
受入機関(施設側)で追加になりやすいもの
- 施設・法人の概要がわかる資料
→ パンフレット、運営体制、事業内容 - 直近の決算関係や事業の継続性を示す資料
- 雇用条件の根拠
→ 賃金規程、同職種の給与水準資料など
本人側で追加になりやすいもの(変更・更新)
- 住民税の課税(または非課税)証明書・納税証明書
- 職歴の説明資料
→ 特に「実務経験ルート」で説明が必要な場合 - 過去に不許可がある場合の経緯説明と、改善した点を示す資料
審査期間の目安
審査期間は一律に断言できないものの、入管では申請類型ごとに標準処理期間を示しています。大まかな目安としては、
- 在留資格認定証明書交付申請(COE)
→ 1か月~3か月 - 在留資格変更許可申請
→ 1か月~2か月 - 在留期間更新許可申請
→ 2週間~1か月
※ 上記はあくまで目安であり、申請が集中しやすい時期や、追加資料の必要が出ると伸びる点に注意が必要です。
不許可になりやすい理由
在留資格「介護」の不許可リスクは、だいたい次のパターンに集約されます。
- 資格・登録の不備
→ 介護福祉士としての登録が確認できない、証明資料が不足している - 仕事内容のズレ
→ 介護ではなく周辺業務が主に見える(清掃・厨房・送迎など) - 雇用条件の弱さ
→ 報酬が低い、内訳が不明、勤務形態が不安定で生活基盤が説明しづらい - ルートの混同
→ 特定技能・技能実習・EPAなどの制度要件と混ぜて準備してしまう - 在留状況の問題(更新時)
→ 税金、届出、過去の違反、活動実態の不一致などが説明できない
行政書士へ相談する前に準備すると良いもの
もし、行政書士へ介護ビザの相談をする際は、以下の用意をするとスムーズです。
- 介護福祉士の資格・登録関係
→ 登録証、合格証書、登録申請の状況がわかる資料 - 雇用契約書・労働条件通知書
→ 給与内訳、勤務形態、開始日 - 職務内容(メモ等でも可)
→ 介護業務の比率、担当、記録、指導の有無 - 在留カード・パスポート
→ 変更/更新の場合
※ 湘南さむかわ行政書士事務所では、業務の見積もり・依頼・各種お問い合わせは専用フォームやLINEなどから24時間受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。


