アメリカへの旅行や出張を計画する際、多くの方が利用するESTA(電子渡航認証システム)。しかし、過去に逮捕歴や前科がある場合、申請画面で立ち止まってしまうこともあるかと思います。
ESTAの質問項目のなかでも、特に判断に悩むのが「CIMT(非道徳的犯罪)」に関わるものです。専門的な用語であるため、ご自身の過去の過ちがこれに該当するのかどうか、不安に感じるのも無理はないでしょう。
ここでは、どのような犯罪がCIMTとみなされるのか、該当してしまった場合の手続きやアメリカビザ取得の必要性について詳しく解説します。過去の履歴と向き合い、適切な手続きを踏むための手がかりとしてご活用ください。
CIMT(非道徳的犯罪)の判断基準
CIMTとは「Crime Involving Moral Turpitude」の略称であり、「非道徳的犯罪」を意味します。アメリカの移民国籍法(INA)において、ビザ発給や入国審査の重要な判断基準となる概念と言えます。
日本の刑法上の分類とは必ずしも一致しないのが厄介な点です。本質的に卑劣であったり、社会の道徳的規範から著しく逸脱していたりする行為が該当するとみなされます。具体的にどのような罪名が当てはまる傾向にあるのか、一般的な目安を以下の表にまとめました。
| 分類 | 代表的な犯罪の例 | CIMT該当の傾向 |
|---|---|---|
| 財産犯 | 窃盗、詐欺、横領、強盗 | 原則として該当する |
| 対人犯(重大) | 殺人、強姦、誘拐、重傷害 | 原則として該当する |
| 対人犯(軽微) | 単純な暴行、喧嘩 | 該当しないことが多い |
| 風紀・薬物 | 売春、規制薬物の所持・譲渡 | 該当 or 別の入国拒否事由に抵触 |
| 交通・行政 | 無免許運転、単純な飲酒運転 | 該当しないことが多い (※悪質な場合を除く) |
万引きのような初犯の窃盗であっても、アメリカの基準では他人の財産を故意に奪う行為としてCIMTに分類されるリスクが高いのです。他方で、一時的な感情の昂りによる単純な暴行は、重大な怪我を負わせていなければCIMTから外れる可能性があります。
不起訴や示談成立ならESTAで「いいえ」と答えてよいのか
日本国内における犯罪の考え方に基づくと、「最終的に不起訴になったから」「被害者と示談が成立したから」という理由で、ESTAの質問に「いいえ」と答えてしまうと思います。
しかしながら、ESTAの設問は有罪判決の有無だけでなく、「逮捕されたことがあるか」を問いかけています。たとえ日本の法律上で前科がつかない不起訴処分や前歴扱いであっても、警察に逮捕された事実がある以上、該当する犯罪であれば申告義務は免れません。
虚偽の申告が発覚した場合、深刻な事態を招きます。入国拒否はもちろんのこと、最悪の場合は永久にアメリカへの入国が認められなくなる恐れすらあるのです。日米間では捜査機関の重大な犯罪情報の共有が進んでおり、隠し通せるという安易な期待は捨てるべきでしょう。
CIMTに該当する場合の具体的な対応策
ご自身の経歴がCIMTに該当する、あるいは逮捕歴があってESTAの審査に通らない場合、アメリカへ渡航するにはどうすればよいのでしょうか。
この状況を打開する唯一の正攻法は、アメリカ大使館または領事館で「Bビザ(観光・商用ビザ)」を申請することです。面接を通じて、過去の犯罪事実、現在の更生状況、渡航の正当な目的を領事に直接説明し、審査を受ける必要があります。
ただ漫然と申請書を出すだけでは許可は下りません。判決謄本や不起訴処分告知書はもちろん、事件の経緯や現在の生活基盤の安定を示す証拠を英訳し、論理的な陳述書として提出する準備が不可欠となります。
専門家に相談すべきケースと事前準備
手続きの多くはご自身で進めることも可能ですが、以下のような状況に心当たりがある場合は、取り返しのつかないミスを防ぐためにも専門家への相談を強くお勧めします。
- 自分の犯罪歴がCIMTに該当するかどうかの法的判断がつかない
- 警察や検察から取り寄せた書類の英訳や、領事館向けの陳述書を作成する自信がない
- 過去に一度、ESTAやビザの申請で虚偽申告をしてしまった・否認された経歴がある
過去の過ちは変えられませんが、適切な準備と誠実な申告によっては、再びアメリカへの扉を開ける可能背があります。ひとりで抱え込まず、まずは専門家と共に現状を整理するところから始めてみましょう。
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